•     もう、5年も前の話ですが、僕は黒柴という犬を飼っていて名前はゴロと言った。ゴロの散歩を終えて帰ってきた妻が言った。

    「ゴロを散歩する道の途中の家に珍しい犬がいたわよ」
    「ふ〜ん、珍しい犬ってどんな犬や」
    「初めて見る犬で、茶色の毛並みでハイエナみたいな不細工な犬なの?散歩の途中にコロに会うととても喜んで尻尾を振るの?コロも喜んで尻尾を振ってとても仲良くじゃれ合うの」

    「それがどうして珍しの?」

    「今日、ちょうど飼い主らしいおばさんがいたので犬の種類を聞いてみたの?」
    「それで?」
    「そのおばさんが言うには、犬の種類はなんと琉球犬なんだって?」

    「琉球犬?」

       そんな話があった数週間後に僕は、いつもの山登り仲間と愛宕山に登った。

    下山後、その琉球犬がいるという店の前を通った。すると、その店の前に茶色と黒のまだら模様の毛並みの犬がいた。大きさは柴犬と同じくらいで毛はちょっと多めの犬。確かにハイエナに似ている。お世辞にも可愛いとは言えない。

    僕は皆んなに言う。
    「この犬、琉球犬という種類の犬らしい」
    皆んなは言う。
    「ふ〜ん…琉球犬ねえ。初めて聞くわそんな種類の犬。でも、あまり可愛くないわね」
    最初の印象はそんなもんだった。

       それから、何回か愛宕山に登った帰りには必ずそのお店の前を通り、その琉球犬と顔を合わす。その犬も僕たちを覚えてくれて、2回目からは尻尾を振って喜んでくれた。僕たちはその犬に勝手に「琉ちゃん」と名付けて可愛がった。

        最初は不細工な犬やなと思っていたのに何回か会っていくうちに可愛くなってきて、皆んなも「琉球犬ってなかなか可愛い ね」と琉ちゃんを褒めるようになった。


        その後、1年が経過したある日、僕たちはいつものように山を降りるとそのお店の前を通った。飼い主らしいおばさんが店の前に立っていた。

        琉ちゃんは僕たちが通るといつものように尻尾を振って喜んでくれた。それを見ていたおばさんは言う。
    「まあ、珍しいわね。クロが他人に尻尾を振るのは滅多にないのに」という。どうもその犬の名前はクロというらしい。
    僕は言う。


    「クロちゃんと言うんですか?可愛いですね。愛宕山に登った帰りにはいつものこの道を通るんですが、通るたびに尻尾を振って喜んでくれるんですよ」
    「それは、それは。珍しいですね。よっぽど皆さんを気に入ったんですね」
    「そんな感じですね。ところでこの琉球犬はどこで買われたんですか?」
    僕は訪ねる。

        すると、おばさんはキョトンとして答える。
    「リュウキュウケン?なんですか?リュウキュウケンって」
    「あ、いやいや、このクロちゃんの犬の種類のことです」
    「この犬は雑種ですよ。リュウキュウケンとかいう犬ではありませんよ」

    「…………」

        僕たちは、その場をそそくさと退散した。

        その家が見えなくなると、3名は僕を振り返り言った。
    「もう、これまでのことは何だったんのよ!」
    「あ、いや、そんなバカな…確かに琉球犬だって家内が……」

    「もう!……」

    3人はプンプン怒っていつものぜんざいも食べずに駅に向かって帰って行った。

    それから、家に帰り妻にそのことを言うと「えっ、私そんなことを言ったかしら?」という始末…。

        それから、僕はネットで琉球犬のことを検索して調査をすることにした。

        調べてみるとどうもあの犬は琉球犬とは違うようだ。確かにイメージは似ているが琉球犬は毛はもっと短くて体もどちらかというと細いようだ。

       でもネットに出ている画像は鮮明な画像がなくしっかりとした琉球犬のイメージがどうしても湧いてこない

        これでは、あかん。本物の琉球犬が見たい。僕の琉球犬探しの旅がここから始まった。

    琉球犬の話その2に続く→ここから 

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